ポリプロピレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE
2025.10.27

発泡容器は、内部に気泡を含む構造により、断熱性が高く、軽量という特徴があり、食品容器等で使用されています。
発泡容器は、押出成形を用いて成形する発泡シートを熱成形して製造します。PPの押出発泡成形は一般的には難しいと言われますが、WAYMAX™は押出発泡向けに適した長鎖分岐PPです。WAYMAX™はひずみ硬化性と高い溶融張力を有しており、押出発泡成形時に気泡が破れるのを防ぎます。
下記は、Tダイ押出発泡の例ですが、WAYMAX™ EX4000を用いることで、汎用PPでは困難な高い発泡倍率と独立気泡率(=破れている気泡が少ない)を有する発泡シートを得ることが可能です。
発泡容器は、一般的な発泡していない容器(ソリッド容器)より断熱性が向上します。
カップにお湯を注いだり、個食米飯、お弁当、総菜を電子レンジで加熱して取り出す、熱い料理を盛り付けて運ぶなど、容器を持った時に「アチッ」となった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
そういった火傷リスク等を低減できる、消費者に優しい容器です。
下記には、同形状の PP 発泡容器と PP ソリッド容器のそれぞれに沸騰直後のお湯を注ぎ、容器底面の温度を継時測定した実験結果を示します。ここで使用した発泡 PP 容器は発泡倍率が 3 倍、底面厚みが 1.3mm であり、ソリッド容器より軽いものを用いました。

この結果から、ソリッド容器との比較で、発泡容器では容器底面の最高温度が 10℃以上低く、また、温度上昇が緩やかになっていることが分かります。言い換えると、発泡により容器の断熱性が高くなり、実用上「熱くなり難い」容器になっています。
発泡バリア容器は、前述の発泡シートに、多層化技術による酸素バリア層(EVOH など)を組み合わせたシートを熱成形した容器です。
発泡容器の特徴である軽量・断熱性に加え、高い酸素バリア性を有することから内容物(食品)の酸化を防ぎ、食品のロングライフ化が可能です。これらの特徴から、環境負荷低減と食品ロス削減に貢献できる、サステナブルな社会に対応した容器だと考えています。
発泡バリア容器を通常の発泡していないバリア容器と比較した場合、樹脂の無い気泡部分が多く含まれる為、容器の酸素バリア性にも影響を与えることが考えられます。
そこで、バリア容器、発泡バリア容器、発泡容器の酸素バリア性について比較しました。この測定においては、同形状の容器を用いて、バリア容器と発泡バリア容器はバリア層の厚みを約 40μm に揃えています。
また、参考となる発泡容器は同形状ですが、バリア層を有していません。各容器にはバリアフィルムをトップシールし、容器部分の酸素バリア性を評価できるようにしました。
酸素バリア性の測定結果を下記に示します。
発泡バリア容器の酸素バリア性

この結果から、今回測定した発泡バリア容器は一般的なバリア容器と同等の酸素バリア性を有することが確認できました。なお、良好な酸素バリア性を確保する為には、容器端面からの酸素の流入を抑制する為、図中に示したように、容器の内容物側(トップシール面と近い位置)に酸素バリア層を配置することが重要となります。
発泡バリア容器の軽量化イメージについてご説明します、下記の図は、原反シートの厚みを同じ 1mm として、発泡していないソリッドシート、及び発泡倍率を2倍、2.5倍、3倍とした発泡バリアシートで坪量(単位面積当たりの重量)を比較しました。
軽量化例(発泡バリア)

この結果から、同じ厚みのソリッドシートと比較して、発泡バリアシートでは約 50~60%の軽量化が可能であることが分かります。
以上のことから、発泡バリア容器は、従来のバリア容器と同等の酸素バリア性を有しながら、軽量・断熱という機能も併せ持つ容器となっていることが分かります。
最後に、押出発泡に適する高溶融張力 PP 「WAYMAX™」の一般物性表をご紹介します。
本記事でご紹介した T ダイ押出発泡向け以外にも様々なラインナップがありますので、お気軽にお問合せください。

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