ポリプロピレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE

薄肉成形向けポリプロピレン

2025.10.27

薄肉成形向けポリプロピレン

成形品薄肉化の課題

成形品の薄肉化を達成するにあたり、以下のような課題が想定されます。
・薄肉の成形品は樹脂が流れにくいため、流動性の不足により未充填や反り、ヒケなどの成形不良が発生しやすくなる。
・成形品の薄肉化に伴い、強度や寸法精度の確保が難しくなる。

ノバテックBC08F/BC10HRFとは

上記の課題に対応するため、流動性と機械的特性のバランスを両立したポリプロピレン樹脂(PP)であるノバテックBC08FBC10HRFを開発しました。
それぞれのメルトフローレート(MFR)は以下の通りで、高い流動性を有し、薄肉成形品のように金型内の流路が狭い場合でも、末端まで樹脂が充填されやすくなります。
BC08F : MFR=75g/10min
BC10HRF : MFR=100g/10min
流動性の比較として、従来PPMFR = 30g/10min)とBC10HRFのスパイラルフロー評価結果を下図に示します。
従来PP800mmに対し、BC10HRF1,200mmの流動長を示しました。この結果から、BC10HRFの方がより高い流動性を有していることが分かります。

 

ノバテックBC08F/BC10HRFの特性

  • 薄肉による減量化例
    200ml飲料カップを例に、薄肉化による樹脂使用量の削減効果を示します。従来のポリプロピレン(MFR = 30g/10min)を使用した場合、成形品の肉厚限界は約0.7mmで、重量は14.3gとなります。これに対し、BC08Fを用いた場合は肉厚0.5mm12.5g)まで薄肉化が可能で、約13%の樹脂削減が見込まれます。さらに、BC10HRFでは肉厚0.4mm9.8g)での成形が可能となり、約31%の樹脂削減を実現します。このような薄肉化した成形品では、MFRが高い材料を用いてもヒケが生じやすい場合がありますが、BC08FおよびBC10HRFについては、樹脂設計のノウハウによりヒケを抑制しやすい材料となっています。

 

  • 有機物、無機物コンパウンドによるMFR低下の抑制
    PPにフィラーなどを添加した材料は、優れた物性が得られますが、一般的に流動性の低下を伴います。このような材料系においても、高いMFRを有するPPをベース材とすることで、流動性の低下を抑えることが可能です。例えば、無機フィラーとして一般的に使用されるタルクを40wt%添加した際のMFRを比較すると、従来PPMFR = 30g/10min)はMFR = 11g/10minまで大きく低下します。一方で、BC10HRFをベース材とした場合、同じタルク含有量でもMFR = 42g/10minとなり、高い流動性を維持していることが分かります。

物性表一覧

用途例

  • • 食品分野:減量化が求められるドリンクカップ、デザートカップなど
  • • 工業分野:減量化や大型の自動車部材、工業用部材など
    • コンパウンドベース:各種フィラー(ガラス・タルク・セルロース・木紛)などのベース材として

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