ポリプロピレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE

加飾フィルム向けポリプロピレン(開発材)

加飾フィルム向けポリプロピレン(開発材)

高まる加飾フィルムへの期待

自動車部材や家電製品、OA機器などの筐体表面には、従来、塗装、蒸着、メッキなどの意匠性を付与する表面加飾技術が用いられてきました。特に塗装は CO₂排出量が多いことに加え、リサイクル後の材料物性を大きく損なうため、これら加飾製品は資源循環の障害となっています。
一方で、製品形状の複雑化や CO₂・VOC(揮発性有機化合物)削減要求の高まり、部材表面へのテクスチャ付与など、意匠性に対する高度なニーズから、印刷、塗装、蒸着、着色、エンボス加工を施した加飾フィルムを製品表面に貼り合わせる技術が広く用いられるようになっています。

なぜポリプロピレン(PP)製加飾フィルムのニーズが高い?

加飾フィルムに用いられる基本材料には、熱成形性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート、PET、PVC などが一般的に挙げられます。しかし、自動車分野で広く使用される PP 部材に対して異樹脂の加飾フィルムを貼り合わせると、リサイクル性が著しく低下する課題があります。
加飾フィルムの PP 化により、加飾部材のモノマテリアル化が可能となり、リサイクル性の向上と環境負荷の低減に寄与することが期待されます。

加飾フィルム用 PP の特徴

加飾フィルムに用いられる樹脂には、フィルム加熱時の「耐ドローダウン特性(垂れ性)」や、軟化状態で製品形状に追従するための「延展性」など、優れた熱成形性が求められます。
しかし、従来の PP では十分な熱成形性が得られませんでした。
日本ポリプロ株式会社は、独自のメタロセン触媒技術および重合技術を活用し、世界で初めてリアクターメイドによる LCB-PP「WAYMAX™」の工業化に成功しました。この技術により、流動性を保持しつつ、ミクロゲルやフィッシュアイ(FE)と呼ばれる外観不良を抑え、熱成形性に優れた加飾フィルム用 PP(開発品)の製造が可能となりました。

モノマテリアル(オールPP化)によるリサイクル性向上

冒頭で述べた通り、PP部材への塗装や異樹脂製フィルムによる加飾は、リサイクル性を低下させる要因となります。加飾を含めたPP部材のオールPP化は、リサイクル性向上に有効な手段です。

欧州ELV規制への対応(自動車廃材の活用)

2023年7月、欧州にて「車両に使用されるプラスチックの25%を再生プラスチックとし、そのうち25%を廃車由来とする」という規制案が公表されました。現在も規制内容については議論が続いています。

今後生産される自動車部材のモノマテリアル化設計とは別に、既存の塗装部材もリサイクル資源として活用可能です。ただし、物性低下や外観不良の観点から、単純な粉砕品としてのリサイクルは困難です。PP系加飾フィルムを用いることで、リサイクル材使用による外観不良の課題を解決し、物性低下を許容できる部材への再利用に貢献する可能性があります。

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