ポリプロピレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE

マテリアルリサイクルポリプロピレン:NOVAORBIS™-MR

マテリアルリサイクルポリプロピレン:NOVAORBIS™-MR

マテリアルリサイクルとは

マテリアルリサイクルとは、使用済みプラスチックを物理的に回収・洗浄・粉砕し、再び原材料として利用する方法です。
使用済みプラスチックを回収・洗浄・再加工してリサイクル材として利用するマテリアルリサイクルでは、原料の精製や重合などの工程が不要なため、エネルギー消費量の削減が可能です。 

マテリアルリサイクルの現状と課題

しかし、マテリアルリサイクルに活用されるプラスチックの量は依然として少ないことが知られています。
一般社団法人プラスチック循環利用協会が2024年に発行した「2023年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分」によると、2023年の国内の廃プラスチック総排出量769tのうち、有効活用された廃プラスチックは688tで、全体の89%を占めています。
一方、マテリアルリサイクルに限ると、活用された廃プラスチックは171tで、その内、国内で再生樹脂として投入された量は48万トンに留まっています。 

参考文献:https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf2.pdf

マテリアルリサイクルの有効活用率が低い理由として、以下の課題が挙げられます。

・ 使用済みプラスチック製品には他の素材(紙、金属、少量の異種プラスチックなど)が混在していることが多く、分別・洗浄工程が必須となります。
・ 元の製品に使われていた色や添加剤、使用環境の違いにより、再生されたプラスチックの性質にばらつきが生じ、均一な品質の確保が難しい場合があります。
・ そのため、リサイクル材の使用用途が限定されることがあり、特に高機能部品への適用が困難でした。

これらの課題に対し、弊社では長年培った材料設計技術を用いて、高性能化したマテリアルリサイクルポリプロピレンを提供いたします。
マテリアルリサイクルは、製品のライフサイクルを延ばし、「使い捨て」から「循環」へと転換する取り組みです。これにより、エネルギー資源の消費を抑えつつ、サーキュラーエコノミーの構築に寄与します。

産業資材向けマテリアルリサイクルポリプロピレン

従来のマテリアルリサイクル材は異物が多く、物性がバージン材と比べて劣ることがあり、色のばらつきや透明性の制限、着色自由度の低さなどの課題がありました。
高品質のリサイクル材と材料設計のノウハウ、当社が保有するノバテック、ウィンテック、ウェイマックスとの組み合わせにより、幅広い成形方法・用途を想定した材料提案が可能となりました。
加えて、FDA-NOLのリサイクル材とPL登録のバージン材との組み合わせも提案可能です。詳しくはお問い合わせください。

代表物性値

工業材料用途向けマテリアルリサイクルポリプロピレン

従来のマテリアルリサイクル材は異物が多いため、物性、外観がバージン材と比べて劣ることが多いですが、良質なマテリアルリサイクル材と配合設計技術を組み合わせることで、バージン材とほぼ同等の物性、外観を有するマテリアルリサイクル材料が実現可能です。
下表に示す通り、自動車用途の各種部品(バンパー、インパネ、ドアトリム等)を想定した材料の設計、開発が可能であり、これらの材料は自動車工業会の公表した各種部品の目標値も満足しています。
さらに、お客様の要望に合わせて物性のチューニングも可能ですので、各種物性値に関してご要望がある場合は、問い合わせページよりお問い合わせください。

工材用途向け物性表

本表のデータは、一定条件下で測定されたものではありますが、規格値としてではなく、特性把握の為の目安としてお取扱いください。 
用途適合性につきましては、上記物性値を参考に最終製品でご確認ください。 

 

採用事例

KGモーターズ株式会社の小型モビリティロボット「mibotⓇ」の内装部材材料として採用されました。
今回採用されたマテリアルリサイクルポリプロピレンNOVAORBIS™-MRはポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリプロピレンを25%含む環境低負荷なポリプロピレン材料です。

詳細はこちらをご覧ください。
https://www.j-polypropylene.com/news/3200/

ガラス長繊維強化ポリプロピレン(ファンクスター™)へのマテリアルリサイクル適用

・ファンクスター™とは 

当社が独自技術により開発した、高性能ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂です。
従来のガラス短繊維強化樹脂では、ガラス繊維のチョップドストランドと熱可塑性樹脂を押出機内で溶融混練するため、ガラス繊維は0.5mm程度にまで粉砕されてしまいます。
ファンクスターでは、独自の溶融含浸法を用いることでペレット長と同じ長さのガラス繊維長が得られます。例えばペレット長が10mmの場合、短繊維強化樹脂の約20倍の繊維長を持つ強化樹脂が得られます。

・ファンクスター™へのマテリアルリサイクル適用

ファンクスターにおいても、マテリアルリサイクル材は原料由来の異物などの影響により、バージン材と比べて物性が劣る課題があります。
今回、良質なリサイクル材と独自の溶融含浸法を用いることで、高外観かつバージン材とほぼ同等の機械物性を示す材料の実現が可能です。
バックドアインナーなど、無塗装で高外観が求められる用途への適用が期待されます。


さらに、お客様の要望に合わせて物性のチューニングも可能ですので、各種物性値に関してご要望がある場合は、問い合わせページよりお問い合わせください。
 

詳細に関するお問い合わせはこちら

免責事項
本記事に記載された試験結果、技術情報、推奨事項等は、弊社が蓄積した経験および実験室データに基づいて作成したもので、異なった条件下で使用される製品にそのまま適用できるとは限りません。
従いまして、お客様の製品、使用条件にそのまま適用できることを保証するものではなく、それらの活用に関してはお客様で責任を持って判断する必要があります。
弊社はいかなる場合においても、本製品を単独または他の製品と組み合わせて使用した場合の、製品への適合性及び本書に記載された用途における市場性と安全性については保証しません。

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